バスコには完敗した。日本では、人並みかそれ以上には乗れると思っていた私にとってはショックだった。何も、難しいことをしようとしたわけではない。簡単なことが全くできなかったのだ。私はもう自分は基礎はできていて、ドイツではその上のレベルのことを習おうくらいに思っていたのだ。その自信が完全に揺らいだ。
何日かして、色々なことが日本と違うのに気がついた。馬の一頭一頭が、表情豊かで個性がある。人は馬に、人間の子供に対するように話かける。(日本人も話しかけるが、もう少し控えめである)そして人間の言葉に、ドイツの馬たちは日本の馬たちよりも反応を示す。みんな、お行儀がいい。人と付き合うのが上手い。なんなんだ?何が違うんだ?
馬の乗り手として、カーチャが天才であるということはすぐに感じた。馬とカーチャは、いつも調和のとれた一つの絵になっている。無駄な動きが全くない。ごくごく自然に、馬に命令するというよりは、促す。ここまで来ると芸術だ。私は胸が熱くなるような興奮を覚えた。
私は全てを学びたいと思った。馬の乗り方、接し方、全て。私が今まで正しいと思っていたことや、できると思っていたことは全て忘れることにした。プライドも先入観も捨てて、私は実は初心者よりもひどいらしいということを認めた。だから弟子にしてくれ、という思いだった。

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